2026.1.19
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鼻づまりが原因のいびきを改善する効果的な方法を睡眠専門医が解説
「鼻がつまると、いびきがひどくなる」と感じたことはありませんか?
鼻づまりといびきには深い関係があり、鼻づまりを改善することで、いびきが軽減されるケースも少なくありません。
この記事では、睡眠の専門医への取材をもとに、鼻づまりの原因から、いびきを引き起こすメカニズム、自宅でできるセルフケア、医療機関での治療法まで、徹底的に解説します。
いびきでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 鼻づまりの原因を知ろう
まず、なぜ鼻がつまるのかを理解しましょう。
慢性的な鼻づまりには、様々な原因がありますが多くみられる原因を紹介します。
アレルギー性鼻炎
花粉症やハウスダストアレルギーなど、アレルゲンに対する反応として鼻粘膜が腫れることで鼻づまりが起こります。
この場合は、抗アレルギー薬(内服薬や点鼻薬)で症状をコントロールできることが多いです。
アレルギー性鼻炎の方は、しっかりと花粉症対策やアレルゲン対策が必要です。
市販薬の中には依存性のあるものもありますので、注意が必要です(詳しくは後述します)。
急性鼻炎(風邪)
風邪(急性鼻炎)は、ウイルスや細菌が原因で鼻の粘膜に炎症が起こり、粘膜が腫れることで鼻づまりが生じます。
風邪による鼻づまりは一時的なもので、風邪が治れば自然と改善することがほとんどです。
ただし、風邪をひいている間は鼻づまりによっていびきがひどくなることがあります。
「普段はいびきをかかないのに、風邪のときだけいびきをかく」という方は、このタイプです。
副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔炎は、鼻腔の周りにある「副鼻腔」という空洞に炎症が起こる病気です。
風邪などをきっかけに細菌感染が起こり、副鼻腔の粘膜が腫れたり、膿がたまったりします。
症状が3ヶ月以上続くと慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と呼ばれます。慢性化すると、鼻茸(はなたけ)というポリープができることもあり、これが空気の通り道を塞いで鼻づまりをさらに悪化させます。
副鼻腔炎の特徴的な症状として、
・黄色や緑色のドロッとした鼻水
・顔の重だるさ・痛み
・においがわかりにくい
などがあります。これらの症状がある方は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
鼻中隔湾曲症
鼻中隔湾曲症とは、鼻の穴を左右に分けている「鼻中隔」という仕切りが曲がっている状態です。
これは鼻の構造の問題であるため、薬では根本的に治すことができません。
「アレルギーの薬を飲んでいるのに鼻づまりが治らない」という方は、鼻中隔弯曲症の可能性があります。
また、アレルギー性鼻炎と鼻中隔湾曲症の両方を併せ持っている方も少なくありません。
鼻中隔弯曲症の場合は、鼻の通りをよくするための手術治療(鼻中隔矯正術)が必要になることがあります。
気になる方は、耳鼻咽喉科で検査を受けてみてください。

2. 鼻づまりがいびきを引き起こすメカニズム
では、鼻づまりはどのようにしていびきにつながるのでしょうか。主に2つのパターンがあります。
口呼吸による舌の落ち込み
鼻が詰まると、自然と口で呼吸するようになります。口が開くと、舌が喉の奥に落ち込みやすい構造になります。
これにより喉(気道)が狭くなり、空気の通り道で振動が起こることで、いびきが発生します。
これが最も一般的な鼻づまりによるいびきの原因です。
鼻腔内での空気の振動
口を閉じて鼻呼吸をしている場合でも、鼻の内部が狭くなっていると、その狭い部分を空気が通過する際に振動音が発生します。これが「鼻いびき」と呼ばれるタイプのいびきです。

3. 今日から始める!鼻づまり対策セルフケア
鼻づまりの原因とメカニズムを理解したところで、まずは自宅でできる対策から始めてみましょう。
以下の方法は、体に負担が少なく、今日からすぐに実践できます。
鼻うがいで鼻腔を清潔に
体に負担が少ない方法として、専門医がおすすめするのが「鼻うがい」です。
水道水をそのまま使うと痛みを感じることがあるため、生理食塩水(0.9%の食塩水)を使用するか、市販の鼻うがい専用キットを利用するのがおすすめです。
鼻腔内のアレルゲンや花粉、ほこりを洗い流すことで、鼻通りが改善され、いびきの軽減につながります。
横向きで寝る・上半身を少し起こす
真上を向いて仰向けで寝ると、鼻づまりが起きやすくなります。
これは、仰向けになることで鼻の粘膜に血液が集まり、むくみやすくなるためです。
対策として、横向きで寝ることや、クッションなどを使って少し体を起こして寝ることで、鼻づまりを軽減できる可能性があります。
寝室の環境を整える(アレルゲン対策)
アレルギー性鼻炎をお持ちの方は、寝室のアレルゲン対策が重要です。
・こまめに掃除をしてハウスダストを減らす
・寝具を清潔に保つ(週1回以上の洗濯・天日干し)
・花粉シーズンは窓を閉め、空気清浄機を活用する
・適切な湿度管理(40〜60%程度)を心がける

4. 市販薬の賢い選び方と使い方
セルフケアだけでは改善しない場合、市販薬を活用する方法もあります。
ただし、使用には注意が必要です。
点鼻薬は依存性に注意
点鼻薬は即効性がありますが、使いすぎると「依存性」が生じるものがあります。
特に血管収縮剤を含む点鼻薬を長期間使用すると、薬なしでは鼻が通らなくなる「薬剤性鼻炎」を引き起こす可能性があります。
長期間使用する場合は、必ず医療機関を受診してください。
医師の指導のもと、適切な薬を処方してもらうことが大切です。
内服薬はアレルギー性鼻炎に効果的
鼻づまりの原因がアレルギー性鼻炎であれば、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服薬でも効果が期待できます。
点鼻薬に比べて依存性のリスクが低いため、花粉症シーズンなど一定期間使用する場合は内服薬が選択肢となります。
5. 生活習慣で気をつけること
お酒は鼻づまりを悪化させる
アルコールは鼻の粘膜を充血させる作用があります。そのため、お酒を飲んだ日は鼻がつまりやすくなり、いびきがひどくなる傾向があります。
「普段はいびきをかかないのに、飲み会の日だけいびきをかく」という方は、アルコールが原因かもしれません。
いびきが気になる方は、寝る前の飲酒を控えることをおすすめします。
タバコも鼻づまりの原因に
タバコの煙は鼻の粘膜を刺激し、炎症を起こしやすくします。
慢性的な炎症は鼻粘膜の腫れにつながり、鼻づまりといびきの原因となります。
喫煙習慣のある方は、禁煙または減煙を検討してみてください。
6. 医療機関での鼻づまり治療
セルフケアや市販薬で改善しない場合は、医療機関での治療が必要です。
・内服薬・点鼻薬による治療
・構造的な問題がある場合は手術治療
症状や原因に応じて、適切な治療が選択されます。
治療の流れ
最初は内服薬や点鼻薬による薬物治療から始まります。
医師の処方による薬は市販薬よりも効果が高く、また依存性のリスクも適切に管理されます。
薬物治療で効果が不十分な場合や、鼻の構造に問題がある場合(鼻中隔弯曲症など)は、手術治療が選択肢となることがあります。

7. 医療機関に受診するべきサイン
以下のような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
✓ 市販薬を使っても効果がない
✓ 市販薬を長期間(2週間以上)使い続けている
✓ いびきが毎晩続いている
✓ 日中に強い眠気を感じる
✓ 寝ている間に呼吸が止まっていると指摘された
鼻づまりの治療は耳鼻咽喉科が専門です。
いびきについても基本的には診てもらえますが、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、睡眠専門のクリニックを受診するのがおすすめです。
事前に対応可能か確認してから受診するとよいでしょう。
8.まとめ
鼻づまりといびきには密接な関係があり、鼻づまりを改善することでいびきが軽減されるケースも多くあります。
まずは鼻づまりの原因を把握し、「鼻うがい」や「横向き寝」などのセルフケアから始めてみてください。それでも改善しない場合は市販薬を試してみましょう。
ただし、市販薬(特に点鼻薬)の長期使用は避け、効果がない場合や長期間使用が必要な場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
いびきは放置すると睡眠の質が低下し、日中のパフォーマンスにも影響します。
また、睡眠時無呼吸症候群など重大な疾患が隠れていることもあります。気になる方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。
参考
- ※日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
- ※厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」
- ※厚生労働省 e-ヘルスネット「昼間の眠気 -睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなどの過眠症は治療が必要」
- ※日本循環器学会「2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」
- ※国立循環器病研究センター「睡眠時無呼吸症候群と循環器病」
コラム監修者
日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医
〈経歴〉
初期研修終了後、東京慈恵会医科大学
耳鼻咽喉科学教室に入局
耳鼻咽喉科専門医を取得
太田睡眠科学センターで睡眠専門医を取得
大学病院勤務を続けながら医学博士を取得
身近に患者の睡眠問題と向き合うため、Dクリニック東京ウェルネスで睡眠外来を行う