2026.1.19

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いびきで病院はいつ行く?受診するタイミングと治療の流れを睡眠専門医が解説

「いびきがうるさいと家族に言われた」「朝起きても疲れが取れない」――
このような症状に心当たりはありませんか?いびきは単なる睡眠中の音ではなく、睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません。
この記事では、睡眠専門医へのインタビューをもとに、いびきで受診すべきタイミング、
睡眠外来の初診から治療開始までの具体的な流れを詳しく解説します。

今すぐ受診すべき症状(重要度★★★)

「いびき自体が正常なことではない」と睡眠専門医は指摘します。
特に以下のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。

【すぐに受診すべき症状】

・毎晩いびきをかく

・睡眠中にいびきの頻度が以前より増えてきた

・睡眠中にいびきの途中で呼吸が止まることがある

・お酒を飲んだ時や風邪をひいた時だけでなく、毎日いびきをかく

・朝起きても疲れが取れない、日中に強い眠気がある

これらの症状が見られる場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気で、放置すると高血圧や心疾患などの
リスクが高まります。

「様子見」と「受診」の境界線

様子を見ても半年や一年経つとあまり好ましくありません。症状に気づいたら、
1ヶ月以内の受診が推奨されています。

様子を見てもよいのは、いびきの頻度が高くない場合のみです。
ただし、セルフケアを試しても改善しない場合は、早めに専門医に相談しましょう。

受診前に試せるセルフケア

受診前に試してみてもよいセルフケアとして、以下のような方法があります。

・口にテープを貼る(口呼吸防止)

・鼻腔拡張テープを使用する

・横向きで寝る(仰向けを避ける)

ただし、これらの方法を2〜3週間試しても改善が見られない場合は、必ず医療機関を
受診してください。

初診で聞かれること

睡眠外来での初診では、以下のような項目について詳しく問診が行われます。

【問診の主な内容】

1. いつから、どのような症状があるか

2. 困っているのは本人か、ベッドパートナーか

3. これまでの病歴、現在服用している薬

4. 日々の睡眠時間や睡眠の質

5. 日中の眠気の有無

6. 20歳頃からの体重変化

体重の増加は睡眠時無呼吸症候群の重要な要因のため、詳しく確認されます。

初診時の所要時間と準備

初診では、問診から内視鏡検査、検査の案内まで約20分程度かかります。
特別な準備は必要ありませんが、日常の睡眠がどのように感じているか、改めて考えてから受診するとスムーズです。
また、パートナーの同伴は必須ではありませんが、睡眠中の様子を聞いておくと、自分では分からない症状を把握できます。

睡眠時無呼吸症候群の検査方法

睡眠時無呼吸症候群が疑われた場合、大きく分けて2種類の検査があります。

【検査の流れ】

1. 簡易検査(自宅で実施)

まず、自宅で行う簡易検査で無呼吸の有無を測定します。
指や鼻にセンサーを装着して、一晩の睡眠中の呼吸状態を記録します。

2. 精密検査(自宅または入院)

簡易検査の結果、より詳しい検査が必要と判断された場合は、精密検査に進みます。
自宅でできる精密検査、または入院して行う精密検査があります。
精密検査では脳波も測定するため、睡眠の質まで詳しく分かります。

検査結果が出るまでの期間

検査結果が出るまでには約1週間から10日程度かかります。
結果がクリニックに届いたら、改めて結果説明のための受診が必要です。

AHI指数とは?

睡眠時無呼吸症候群の診断には、AHI(Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)という指標が使われます。
AHI(無呼吸低呼吸指数)は、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数です。

【AHI指数による重症度分類】

・AHI 5未満:正常

・AHI 5~15:軽症

・AHI 15~30:中等症

・AHI 30以上:重症

AHIは、睡眠1時間あたりに呼吸が止まったり、浅くなったりする回数を示します。
AHI 5以上で睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

重症度別の治療法

診断結果に基づいて、適切な治療法が選択されます。

軽症の場合の治療

【マウスピース治療】
軽症の方には、マウスピース治療が保険適用となります。
通常のマウスピースとは異なり、下の顎を前に出して気道を確保する特殊な形状です。
歯科医師が作成します。

【体位治療】
横を向いて寝ると症状が軽減する方には、横向き寝を促進する枕などを使用した体位治療が推奨されます。

【肥満治療】
肥満が原因の場合は、体重減少によりいびきの軽減が期待できます。
自費診療での肥満治療も選択肢となります。

重症の場合の治療

【CPAP治療】
重症の方に最も効果があるのがCPAP(シーパップ)治療です。
マスクを装着し、機械から圧をかけた空気を送ることで気道を広げる治療法です。
副作用も少なく、安心して使用できる治療法として広く用いられています。

【手術治療】
喉や鼻の形が原因の場合は、根本的な手術治療を行うこともあります。

治療効果を実感するまでの期間

治療効果を実感するまでの期間には個人差があります。
CPAP治療の場合、装着したその日から効果を感じる方もいれば、2〜3週間かかる方もいます。

重要なのは、「実感がない=効果がない」ではないということです。
自覚症状がなくても、検査データでは改善が見られるケースも多いため、医師の指導のもと治療を継続することが大切です。

CPAP治療の通院頻度

CPAP治療を開始した場合の通院頻度は以下の通りです:

・治療開始後2回:毎月通院(装置に慣れるため)

・その後:2ヶ月に1回(対面またはオンライン診療)

当院では、オンライン診療を積極的に導入しておりますので、通院の負担を減らして、
治療を継続いただけます。

マウスピース治療の通院

マウスピース治療の場合、作成のために歯科医院に通院します。
マウスピース作成後、効果を確認するために再度検査を行うこともあります。
効果があると診断されれば、問題が起きるまでクリニックへの通院は必要ありません。

治療効果の判断方法

【マウスピース治療の効果判定】
マウスピースを装着した状態で、再度睡眠検査を実施します。
治療前後のデータを比較して効果を判断します。

【CPAP治療の効果判定】
CPAP機器には使用状況を記録する機能があり、装置がうまく使えているか、無呼吸・低呼吸が減少しているかを確認できます。

治療の中断・変更について

治療の中断を考える場合は、必ず医師に相談してください。自己判断での中断は避けましょう。
CPAP治療が合わない場合は、他の治療法(マウスピース、手術など)を提案してもらえます。
治療方法の変更も含めて、医師と相談しながら最適な治療を見つけることが重要です。

いびきは単なる睡眠中の音ではなく、睡眠時無呼吸症候群のサインである可能性があります。
毎晩いびきをかく、呼吸が止まることがある、日中の強い眠気があるなどの症状がある場合は、
早めの受診を検討しましょう。

睡眠外来での初診は約20分程度、検査結果は1〜2週間で出ます。
AHI指数により重症度が判定され、軽症の場合はマウスピース治療や体位治療、重症の場合はCPAP治療が推奨されます。

治療効果は個人差がありますが、医師の指導のもと継続することで、睡眠の質の改善と健康リスクの軽減が期待できます。
気になる症状がある方は、まずは睡眠専門医に相談してみてください。


参考

コラム監修者

井坂 奈央
睡眠センター長 医学博士
井坂 奈央
〈認定資格〉
日本睡眠学会総合専門医
日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医

〈経歴〉
初期研修終了後、東京慈恵会医科大学
耳鼻咽喉科学教室に入局
耳鼻咽喉科専門医を取得
太田睡眠科学センターで睡眠専門医を取得
大学病院勤務を続けながら医学博士を取得
身近に患者の睡眠問題と向き合うため、Dクリニック東京ウェルネスで睡眠外来を行う