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2024.3.8

いびきの原因と対策について

いびきの原因は?

いびきの原因はさまざまであり、個人によって異なります。原因のいくつかを紹介いたします。

1.加齢変化

眠りに入ると、全身の筋肉がリラックスします。また加齢に伴い喉の周りの筋肉が緩むことで、呼吸の度に気道に陰圧がかかって狭くなり、空気の通り道が制約されていびきが発生します。

2.寝る姿勢

仰向けで寝ると、舌や扁桃腺が喉の奥に沈み込み、気道を塞ぐことがあります。これがいびきの原因となります。

3.鼻づまり

元々の鼻の形やアレルギーにより、鼻の通り道が狭まり、口呼吸になりやすくなります。これによって舌が落ち込みやすくなり、いびきが引き起こされます。

4.肥満

体重増加は、首周りや舌の脂肪が増加し、気道を圧迫することがあります。これによって空気の通り道が狭まり、いびきが発生します。

5.アルコールの摂取

アルコールは中枢神経系を抑制し、喉の筋肉を緩める作用があります。これにより気道が狭くなり、いびきが発生することがあります。

6.遺伝的な要因

家族にいびきをかく人がいる場合、遺伝的な傾向がいびきの原因となる可能性があります。遺伝的な要因は、気道の形状や顎の骨格、筋肉の特性に関与することがあります。

7.睡眠時無呼吸症候群

いびきが重症化し、呼吸が止まる場合、睡眠時無呼吸症候群という病気である可能性があります。気道の一時的な閉塞や低酸素状態がいびきと関連しています。

睡眠中に呼吸が止まる“無呼吸”や、呼吸が止まりかける“低呼吸”を繰り返すことで、脳も体も低酸素状態に陥るため、体に大きな負担がかかります。十分な時間を眠ったのに疲れが取れないことがあります。

◆睡眠時無呼吸症候群について詳しくはこちら

これらの原因は、単独である場合もありますが、多くの場合は複数の要因が組み合わさっていびきが引き起こされます。個々のケースに応じて、原因を特定し、それに基づいた適切な治療法を導入することが重要です。

今日からできるいびき対策

1.体重管理をする

体重超過がいびきの原因である場合、健康的な食事習慣や適度な運動を取り入れて体重を管理することが重要です。減量がいびきの軽減につながることがあります。

2.寝姿勢の改善

仰向けでの寝ることがいびきを引き起こす場合、横向きで寝るように心掛けましょう。横向きで寝れる枕や寝具を使用して、寝姿勢をサポートすることも有効です。

3.マウスピースを使用をする

個人の顎の形状や骨格に合ったマウスピースを装着することにより、下顎を前に引っ張り、気道を拡張する効果があります。市販品もありますが、歯科医院では自分に合ったオーダーメイドのマウスピースを作ることができます。

4.アルコールを控える

アルコールを摂取すると、喉の筋肉が緩み、気道がふさがりやすくなります。寝る前のアルコール摂取を控えることで防ぐことができます。

5.鼻づまりやアレルギーの対策 

鼻づまりがいびきの原因である場合、アレルギー症状の軽減や鼻づまりの治療が有効です。抗アレルギー薬や点鼻薬を使用することで改善が見込まれます。当院で処方が可能ですので、ご相談ください。
また、耳鼻科で鼻の通り道を拡張するための治療を行うのも効果的です。
いびきが慢性的である場合や、他の睡眠障害が疑われる場合は、医師の診断を受け、適切な治療法を検討しましょう。

病院で行ういびき治療

慢性的ないびきをかく方は生活習慣の改善をするだけではいびきがよくなることはありません。病院を受診することをお勧めします。

何科に行けばいいのか?

毎日のように大きないびきをかく方や、呼吸が止まるなどの症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群が疑われるため、専門的な睡眠検査ができる病院で診てもらう必要があります。睡眠外来やいびき外来など睡眠専門医の資格を持つ医師がいる病院をお勧めします。

どんな治療ができるの?

1.睡眠検査

 まずは治療が必要ないびきかどうか、検査をしてみましょう。
 ご自宅で行う簡易検査と精密検査、入院施設に1泊して行う精密検査があります。検査を行うことでいびきや睡眠時無呼吸を正確に診断することできます。

ご自宅で行う簡易検査は、2日間連続で検査機器を装着して普段通り寝ていただきます。呼吸のセンサーや酸素飽和度を測定し、いびきや無呼吸の程度を測定します。
ご自宅で行う精密検査は、1晩検査機器を装着して普段通り寝ていただきます。簡易検査の検査内容に加えて、睡眠の質が測定できます。

睡眠時無呼吸症候群以外の睡眠障害を検査したい場合は、病院に一泊入院し、脳波や心電図を測定しながらいびきや呼吸の状態を測定します。
またいびきの原因が何かを調べることで自分にあった治療法が分かります。受診時に医師に相談してみましょう。

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2.マウスピース治療

睡眠検査で軽症の無呼吸症候群と診断された場合、保険適用でマウスピース治療ができます。治療は安価で行えますが、重症の無呼吸症候群の方への効果は少ない治療法となります。

3.CPAP療法

マスクを装着し、持続的な陽圧で空気を気道に送り込むことにより、気道の閉塞を防ぎ、いびきや無呼吸を軽減する治療法です。睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、保険適用で治療を行えます。

4.手術

いびきの原因が扁桃肥大やのどの形による場合は、手術によりのどを拡げることで、いびきが解消されることがあります。手術は根本的な治療を希望される方に対して検討されますが、効果がある方とない方がいるので専門医による見極めが重要です。またいびきの日帰り手術は適応が難しいため、受けられる場合は専門医とよく相談されることをお勧めします。

いびきは、適切な治療を行うことで改善することができます。ご自身のいびきの原因と治療法を解明して、快適な眠りを得るために、まずは医療機関に相談しましょう。

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コラム監修者

井坂奈央

井坂奈央

Dクリニック東京ウェルネス 睡眠・SAS外来 センター長

【認定資格】日本睡眠学会睡眠医療認定医・日本耳鼻咽喉科専門医