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2024.6.10

オンライン診療でCPAP治療が可能に:通院の負担を軽減

2024年6月1日の診療報酬改定により、CPAP(持続陽圧呼吸療法)治療がオンライン診療でも可能となります。これは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんにとって非常に大きなメリットとなる改定です。特に、CPAP治療は定期的な通院が必要になるため、オンライン診療を用いて、通院の負担が軽減されます。

CPAP治療の通院課題

CPAPは、専用の機器より鼻や口に装着するマスクを通じて、一定の圧力で空気を送り込みます。この持続的な空気の流れにより、睡眠中に気道が閉塞するのを防ぎ、呼吸がスムーズにできるようになります。

CPAP治療は使用状況や効果をデータとして確認すること、そして患者さんが実際に感じている効果を確認することが不可欠です。このことが治療のモチベーションにも繋がります。従来はこれらのフォローアップのために、患者さんは定期的に医療機関を訪れる必要がありました。

しかし、通院が難しい状況にある患者さんも少なくありません。例えば、仕事や家庭の事情で時間が取れない方、遠方に住んでいて交通手段が限られている方、身体的な理由で移動が困難な方などがいます。また、病院での待ち時間が長いなど、これらの理由で通院が負担となり、自己判断で治療を中断してしまうケースも少なくありません

CPAP治療中断のリスク

CPAP治療の継続が重症化予防において重要であることは言うまでもありません。睡眠時無呼吸症候群は、放置すると高血圧や心臓病、脳卒中、糖尿病などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。日中の眠気や集中力の低下、交通事故のリスクも増大します。そのため、治療を中断せず、継続的に受けることが非常に重要です。

CPAP治療がオンライン診療でできるメリット

今回の診療報酬改定により、CPAP治療がオンラインで受けられるようになることで、通院課題が大きく解消されることが期待されます。

オンライン診療の導入により、通院のための移動時間や費用の負担が軽減されることはもちろん、通院が困難な患者さんでも継続的な治療が可能となります。これにより、治療中断のリスクが減少し、CPAP治療の効果を最大限に引き出すことができるでしょう

また、オンライン診療は自宅や職場からスマートフォンやパソコンを使って診療を受けることができるため、時間や場所に制約されることなく、診察を受診することができます。これにより、患者さんはより手軽に治療を続けることができるようになります。

医師はオンラインで患者さんの機器使用データを確認し、必要に応じて設定の変更やアドバイスを行うことができます。また、患者さんの質問や不安に対してもリアルタイムで対応できるため、安心して対面診療と変わらない治療を続けることができます。

オンライン診療の方法

CPAP治療をオンライン診療で行うには、まず初診は対面診療で受診していただき、再診以降オンライン診療で治療を継続していただけます。

スマートフォンやパソコンにオンライン診療専用のアプリケーションをダウンロードしていただくだけで、診療の予約からお会計まで完結することができるので、隙間時間に手軽に診療を受診することが可能です。すでにCPAP療法を受けられている方でも、転院が可能になりますのでお気軽にご相談ください。

オンライン診療の診療費

オンライン診療は、対面診療に比べて診療報酬が低く設定されているため、患者様の費用負担額も軽減されます。

診療費用についても負担が軽減され、通院しやすくなります。

このように、2024年6月1日からの診療報酬改定により、CPAP治療がオンライン診療で受けられるようになることは、多くの患者さんにとって大きな利便性をもたらします。治療を中断せずに続けることで、健康リスクを低減し、日々のQOLを高めることができます。

通院が難しいと感じている方は、ぜひオンライン診療を活用していただきたいと思います。オンライン診療を通じて、より多くの患者さんがCPAP治療を継続し、健康で快適な生活を送ることができるよう願っています。

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コラム監修者

井坂奈央

井坂奈央

Dクリニック東京ウェルネス 睡眠・SAS外来 センター長

【認定資格】日本睡眠学会睡眠医療認定医・日本耳鼻咽喉科専門医